動物病院の麻酔のお話⑹心臓病(犬の僧帽弁閉鎖不全症)の麻酔
動物病院の麻酔のお話(藁戸由樹)
かなり久しぶりの更新です!お付き合いいただけると嬉しいです!
今日は、心臓病、とくに犬の僧帽弁閉鎖不全症の麻酔についてです。
心臓病=麻酔のリスクが高い
こういうイメージを抱かれているのではないでしょうか?
なぜ高リスクなのか、どうすればいいのか、今日はそこを読み解いてみたいと思います。
心臓病の中でも最も多いのが、犬の僧帽弁閉鎖不全症です。
悩まれているわんちゃんも多いのでは無いでしょうか?僧帽弁という心臓の弁が不具合を起こして、血液が逆流する病気ですね。
特にチワワ、マルチーズ、トイプードル、キャバリアなどの犬種に多いです。
麻酔をかけることで心臓の動きは悪い影響を受けることが多いです。
だから皆さん怖いイメージをお持ちなんだとおもいます。
しかし、この心臓病があるからと言って麻酔ができないというわけではありません。
実はこの僧帽弁閉鎖不全症、最適な麻酔薬を選択すれば、麻酔自体のリスクは高く無いと言えると思います。
では、心臓病=麻酔リスクが高いと言われる所以はなんなのか。
それは、麻酔下で行う手術にあります。
「手術に伴う痛み」 です。
この痛みが発生するから、心臓病の患者様は手術中、そして手術後にトラブルを起こしてしまう危険性が増してしまいます。
痛いと皆さん心臓がドキドキすると思います。あまりにも痛いと緊張して眠ることもできません。
痛みは心臓に多大な負担をかけるわけです。
この痛みが制御できないと、特に手術後に心臓関連のトラブルを招く危険性があがるのです。
心臓病の麻酔で最も大切なことは、鎮痛なんです。
当たり前のことなのですが、ここを達成することが絶対条件です。
ちゃんと痛みを取った上で、必要であれば動きが悪い心臓のサポートをするような麻酔管理が求められるわけです。
心臓病だからというだけで片付けず、どういう手術をするのか、どれほどの痛みが想定されるのか、その子の心臓の重症度ほいかほどなのか、最適な麻酔薬、鎮痛薬の組み合わせはなんなのか。
その子に応じてひとつひとつ整理して考え、計画し、麻酔を実施することが大切です。
もちろん麻酔や手術を行うことは避けたいですが、必要な場合もあります。
そのような時に不安なことがありましたら気軽に相談してください。