腹腔内精巣腫瘍 治療編

症例報告(高橋雅弘)

高橋ペットクリニック 外科ケースより

昨日の腹腔内潜在精巣症例

血液検査で異常なし。
超音波検査において腹腔内転移なし。
胸部X線検査において転移所見なし。

異常の所見より手術適応症例と判断し、腹腔内精巣腫瘍切除を実施しました!!

↓クリックすると写真が大きくなりますが、血がだめな方はクリックしないでください!!


腫瘍化した精巣を摘出、また陰嚢内の精巣も同時に摘出しました!!


右側が腫瘍化した腹腔内にあった精巣腫瘍。左側が陰嚢内にあった正常な精巣。

大きさの違いがかなりあります!

病理組織検査でセミノーマ(精上皮腫)と診断されました。

精巣腫瘍には、このセミノーマ、セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫の3つがほとんどです。
この中でライディヒ細胞腫は良性腫瘍で転移はしません。

セミノーマとセルトリ細胞腫は稀ではあります(15%以下)が、転移を引き起こします。
またセルトリ細胞腫の50%以上と一部のセミノーマはエストロジェンという女性ホルモンを分泌するため、雌性化がみられます。雄でありながら乳腺の発達、乳汁の分泌、陰茎萎縮などです。
最も問題になるのがこのホルモンによって再生不良性貧血を起こしてしまうことです。こうなってしまうと手術もできない状況になっていることもあります。

これらの予防として若齢期の去勢手術を提案しています。去勢手術をすることによってその他にも高齢期に起こる前立腺疾患、肛門周囲腺腫そして会陰ヘルニアを予防することが可能になります!!

また潜在精巣の場合は、精巣腫瘍になりやすいので、去勢手術を実施しましょう!!