外傷性横隔膜ヘルニア 治療編

症例報告(高橋雅弘)

高橋ペットクリニック 外科ケースより

昨日の外傷性横隔膜ヘルニア 診断編の続きで今回は治療編です。

外傷性横隔膜ヘルニアの治療は、破裂した横隔膜を縫合することです。

約4ヵ月齢の子猫 840g

手術所見です。
↓クリックすると写真は大きくなりますが、血がだめな方はクリックしないでください!!



横隔膜は破裂しており、欠損孔(緑矢印)はかなり大きいです!!胸腔に入り込んだ消化管を引き出しましたが、まだ肝臓が胸腔内に入り込んでいます。

↓クリックすると写真は大きくなりますが、血がだめな方はクリックしないでください!!

肝臓も腹腔内に戻したところです。左奥に見えるのが心臓で右奥には敗が見えています。

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横隔膜を縫合し再建しているところです。胸腔にはドレーンチューブを設置しています。

外傷性横隔膜ヘルニアの合併症は再膨張性肺水腫といって虚脱した肺が膨らむことによってその部分が肺水腫を引き起こしてしまうという病態です。術後1〜4時間以内に多いと言われています。
この発生機序は明確ではありません。
当院ではこれらの対策として、事前のステロイド薬の投与、麻酔中の過剰な気道内圧を避けるなどの対応をしています!!

術後14日目の胸部X線検査所見です




正常な所見に戻りました!!

ここからが一番大事です!!
猫は呼吸困難の症状を示しにくい動物です。
この状態で避妊手術をしてしまうとお腹を開けた時に換気不全を引き起こし死亡することもあります。
従って特に保護した猫で呼吸が速いと感じた場合は術前に胸部X線検査によってこのような横隔膜ヘルニアがないかどうか?チェックしておくことも必要だと思っています!!