猫の門脈体循環シャント(PSS)治療編

症例報告(高橋雅弘)

高橋ペットクリニック外科ケースより

先日のブログ猫の先天性門脈体循環シャント(PSS)診断編に引き続き今回は治療編です。

猫の先天性門脈体循環シャント(PSS)の治療はシャント血管の結紮手術になります。

CT検査で事前にシャント血管がわかっているため、あとはシャント血管を結紮することだけです。
しかし、シャント血管を結紮すると門脈圧が上昇します。当院では14mmHgを目安に消化管の色調を観察して、結紮しています。

↓ココをクリックすると写真が大きくなりますが、血がだめな方はクリックしないでください!!

矢印がシャント血管です!!

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シャント血管を結紮したところです。
門脈圧はさほど上昇しなかったので、完全結紮しました!!

シャント血管の結紮後のX線造影検査所見です。


緑矢印が結紮した部分で、それ以降に造影剤はみられません。赤矢印が門脈血管で通常よりも細いですが、肝内門脈枝もしっかり造影されています。

門脈シャントの術後の合併症としてまだ原因が明らかにされていない、神経症状があげられます。
これらの神経症状は後に生活できないレベルのこともあるため非常に恐ろしい合併症です。

本症例では、合併症も出ずに無事に退院できました。