犬の胸腺腫(診断編1:症状とX線検査)

症例報告(高橋雅弘)

高橋ペットクリニック 外科ケースより

胸腺腫という胸腔内にできる腫瘍の症例を紹介します。

柴犬 12歳齢 雄

を主訴に来院。

胸部X線検査では



このX線検査では、心臓が尾側に押し上げられ、また気管も挙上しており、前胸部に不透過性の亢進を認めました。
前胸部に腫瘍ができていることを疑います。

普通の犬の胸部X線検査所見はこんな感じなので・・・



比較すると全然違います!!
仰向けで撮影したX線検査所見が



ちなみに普通の犬では



仰向けのX線写真でも大きな違いを感じます!!

その後超音波検査を実施しました。
超音波検査では、心臓の頭側に充実した腫瘤が確認されました。

ここまでの検査で
1.胸腺腫
2.異所性甲状腺癌
3.ケモデクトーマ
4.様々な肉腫
5,中皮腫
6.非腫瘍性の肉芽腫、囊胞、膿瘍
などの病気を鑑別しなければなりません。

次に実施するのは精密検査です。
精密検査では、腫瘍の発生状況外科的切除可能かどうか?転移の有無を確認する為にCT検査そして同時に腫瘍の病理組織検査も実施する計画にしました!!

次回は胸腺腫 診断編2:精密検査( CT検査および病理組織検査)です。